ガラパゴス諸島 クルーズ記
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7日目 サウス・プラサ島


◆デイクルーズへ 〜プエルトアヨラ→プンタ・キャリオン

朝おきると外は雨だったが、朝食を終える頃にはすっかり晴れ上がっていた。
サボテンが生えるような乾燥帯の島があると思えば、ジャングルのように雨が多いこの島。ガラパゴスの多様性は本当に凄い。

この日は、サウス・プラサ島へ日帰りクルーズ。今回の旅でエスパニョラ島と並び絶対に行きたかったところだ。


ガラパゴスのクルーズ船(船中泊型)は、現在50以上あるという。様々なルートをとり、行きたい島を決めてから該当する船を申し込むのだが、なぜかエスパニョラ島とプラサ島両方に行く都合のよい船は見つからなかった。そのためガラパゴス観光の起点になるサンタクルス島からは遠いエスパニョラ島は3泊4日クルーズ、島に滞在して日帰りで十分行くことが可能なプラサ島は別で探すことになったのだ。

しかし、案外これが難航した。
デイクルーズの船は日替わりで様々な島へ向かうため、確実にプラサ島に行くということが分かるのは1〜2ヶ月前。でも通常は、行き先に関係なく船を予約するらしく「ミステリーツアー」状態のようだった。行き先が決まる頃にはどの船も満席で、ドコに問い合わせても空きは見つからなかったのだ。やっと見つかったのは、私たちが乗船したサンタクルス号を運航する「メトロポリタンツーリング」が経営している「Finch bay」というホテルの「ホテル滞在型プラン」のみ。ホテル3泊4日パックに含まれるゲストのためのツアー、断られる可能性が高い。
ダメもとで問い合わせてみたら、「サンタクルス号のお客さんだから、特別にOKよ!」との快諾を貰った。たまたま…なんだけど、とりあえずヨカッタ!
*でも実際現地に行ってみると、港近くに多くのデイクルーズを取り扱う店があり、探せばプラサ島に行くものも見つかりそうではあった。時間に余裕があるか、行き先もそんなにこだわらないというのなら、前日ぐらいから探しても船は見つかるだろう。


…フィンチベイホテルのツアーに便乗させてもらう私たちは、プエルト・アヨラ港に8:00、ホテルのバスが来るのを待った。しかし、待てども待てどもバスは来ない。
すると、港の中の世話焼きオバチャンみたいな人(銀行などで、頼まないのに機械の説明をしてくれるようなオバチャンに、立場は似ていると思われる。)が現れて、「どこに行くの?」(のようなこと。スペイン語)を聞いてきた。「フィンチベイホテルのツアーで、プラサ島に行く」と言うと、私たちを乗り合いバスのようなものに案内してくれた。

しかし10分経っても、誰も現れない。心配になって、バスの運転手に電子辞書の音声機能で聞いてみた。
「コノばすハ、ナンジニデルノデスカ?(スペイン語)」
運転手さんは、突然機械からスペイン語が聞こえるという事体に面食らっていたが、「8時50分だよ(スペイン語)」と、教えてくれた。
運転手さんは電子辞書に興味津々で、「いくらするんだ?」とか「ちょっと見せて」とか、非常に楽しそうだった。

*私はイタリアに1ヶ月ほどの滞在と2回の短期旅行の経験があり、そのとき勉強したイタリア語のおかげで、同じラテン語系のスペイン語も、共通する単語は理解できたのだ。しゃべるのはやっぱり無理だったけど…


しばらく待つと、ようやくフィンチベイのスタッフとゲストが現れ、定刻どおり8:50分にバスが出発した。


プエルト・アヨラの桟橋


バスに乗ってたカメとアシカ
バスは唯一の縦断道路を通って、昨日のハイランド地区を経、イタパカ桟橋に着き、ここから船に乗り込む。
今日の船は10〜15人乗り程度の小型船。ここで、この旅初めての日本人に出会った。
彼らは新婚旅行で来たとのこと。新婚旅行でガラパゴス…う〜ん、いいなぁ。

船は、バルトラとサンタクルス島の間、プンタ・キャリオンあたりで一端停止。ここで、シュノーケリングができる。
おととい暗黒の崖で恐怖を見た私も、今日の明るさなら大丈夫!今度は胴衣もつけたまま行けるし、再度チャレンジしてみた。

…やっぱり、明るい海はイイ!
珊瑚や魚達、エイやサメにも遭遇した。
サメは岩陰に群れで隠れていたが、えらの3本線を見たときにはさすがにちょっと怖かった。「この種は人を襲わないから大丈夫。」とガイドが言っていた。
すぐ横の崖にはグンカンドリがいて、卵を温めているらしかった。

30〜40分ほどシュノーケリングをした後、船は再びプラサ島に向けて動き出した。小型船はスピードを出すとメチャメチャ揺れる。2日前にトラウマを持った私は、イスに横になって少し寝ていた。


◆サウス・プラサ島

船のエンジン音が途切れ途切れになり、前方に平らな小さな島が見えてきた。ここが、リクイグアナ天国、プラサ島だ。

プラサ島は13haの小さな島で、一面にウチワサボテンの林が見える。地面には、雨期に赤くなるセスビウムの葉。
青い海と空に、緑のサボテン、赤い草、白い岩、そのコントラストが何とも言えず美しい。
ヒヨ夫もこの圧巻の景色にはかなり感激していた。


ガラパゴスには3種類のサボテンがある。この島にあるウチワサボテン、サンタクルス島などにあるハシラサボテン、フェルナンディナ島のヨウガンサボテンだ。

ウチワサボテン。向かいはノースプラサ島

赤いじゅうたんのようなセスビウム
ウチワサボテンは、イグアナの大好物。だからイグアナに葉や実を食い尽くされてしまわないように、低木だったサボテンが灌木に進化したらしいのだ。だから、リクイグアナがいる島のウチワサボテンは灌木で、いない島のウチワサボテンは低木なんだそうだ。
動物のみならず、サボテンが身に迫る危険を感じて進化する!
やっぱり凄いぞ、ガラパゴス。


また、この島ではイグアナの特異な進化も起こっている。
ガラパゴスには、海で海草を食べるウミイグアナと、上記のリクイグアナの2種がいる。

ところが、82年のエルニーニョの後あたりから、そのどちらとも異なるイグアナがこの島にいることが分かった。

ハシラサボテン

リクイグアナとウミイグアナは、もともと大陸のイグアナ1種から枝分かれして進化したものだといわれている。
乾燥した島で食べられるサボテンは灌木に進化してしまって、木登りが苦手なリクイグアナたちは、サボテンの下でじっと実が落ちるのを待つしかなくなった。陸の限られた食料では限界がある。そこで、広大な海に広がるアオサに目をつけたイグアナたちが、海に潜り始めた。これが、世界で唯一海に潜るイグアナの誕生である。

しかし、それから何万年か経ち、海水の温度が上昇するという異常事態「エルニーニョ」が頻繁にガラパゴスを襲うようになる。
そのたび、あれだけ豊富だった海のアオサが消えた。
そのとき、エサを陸上に求めたウミイグアナのオスが、リクイグアナのメスと交配し
「ハイブリッドイグアナ」が誕生した。ふたつのイグアナの特徴を持つハイブリッドは、遺伝子上でも彼らのハーフであることが確かめられている。
ハイブリッドは木登りが苦手なリクイグアナと違い、父親譲りの鋭い爪を持ち、サボテンの木に登ることが出来るようになった。したがって、リクイグアナよりも先にエサにありつけるのだ。なんて凄いヤツなんだ!
ただ、ハイブリッドイグアナは繁殖機能を持たないため、現在のところは交雑でしか誕生しない。よって、非常に数が少ない。

ガラパゴスウミイグアナ

ガラパゴスリクイグアナ

ハイブリッドイグアナ 写真:日本テレビ
シマシマじゃないバージョンの子
*最近、イサベラ島で、「ピンクイグアナ」という巨大なイグアナが見つかっている。これはジュラ紀の恐竜そのままの姿かも知れないといわれている。


ともあれ、ハイブリッドは運がよければここプラサ島でのみ見られるかもしれない。ほのかな期待を持ちながら、上陸開始!
桟橋には、もう見慣れてしまってあまり感動がないアシカ達が、やっぱりごろごろしていた。道のど真ん中に寝そべる彼らをまたいで進む。今考えると、なんとも凄いことだ。
ウチワサボテンの下には、これまた1mはあろうかという大きなリクイグアナがじっとこちらを見ている。黄色いのがオス、黒っぽいのがメスだそうだが、正直よく区別が付かないものもいた。
地面には、ところどころぽっかりと穴が開いており、これがリクイグアナの巣。

リクイグアナは数が激減した動物のひとつだが、ダーウィンは上陸したときの記録に「テントを張ろうとしても、リクイグアナの巣が多すぎて非常に難しい」と書いているほど、昔は沢山いたらしい。リクイグアナはその皮が珍重され、食用としても適していたために、人間に乱獲されていくつかの島では絶滅した。

空港のあるバルトラ島では、戦時中のアメリカ軍が面白半分に銃で撃ち殺して絶滅寸前に追い込んだそうだ。現在も、限られた場所でしか見ることが出来ない貴重な生物である。


この穴↑リクイグアナの巣
桟橋と反対の崖までは数百メートルしかない。こちらは海鳥がコロニーを形成していることで有名である。
アカメカモメ、アオアシカツオドリ、世界一数が少ないカモメのヨウガンカモメもいた。そして、その美しさで「熱帯の貴婦人」といわれるガラパゴスアカハシネッタイチョウも飛んでいた。アカハシネッタイチョウは切り立った崖に巣を作るため、諸島でも見ることが出来る場所は限られている。ここプラサ島は、数少ない観測地のひとつだ。
数は少ないがウミイグアナもいる。ハイブリッドを生み出さなければならないほど過酷な環境下のためか、他の島で見たウミイグアナよりもやせていて小さい印象だ。

アカメカモメ

ヨウガンカモメ

アカハシネッタイチョウ

他の島のよりやせて小さいウミイグアナ
さて、ハイブリッドだが、本には「北の沿岸沿いをよく見て歩けば見つかる」とあったが、ド派手な縞模様のハイブリッドイグアナはいなかった。
下調べしたときに見た写真などでは全身縞模様のヤツが多いようだけど、茶色っぽいのとかもいるみたい。一頭それらしいのがいたけど、ガイドは見ていなかったようだ。聞けばよかったな… なんとも残念!!
*分かる方は右の茶色いイグアナが何か教えてください… 爪の鋭さはウミイグアナのようですが…。

上陸している間に、時刻は正午になった。赤道直下だけあって太陽は本当に真上に近く、日陰はサボテンの真下のみ。サボテンはイグアナたちに占領されているので、私の肩と足の甲は日焼けしてひりひりした。本当に真上がよく焼けるんだね…

プラサ島 ヘンな色のウミイグアナ(?)
ハイブリッド??
1時ごろになるとどんどん雲がでてきて、先ほどの景色のコントラストは見られなくなっていた。サンタクルス島周辺は、天気が変わりやすいようだ。
ちょうどこの辺で島を1周し、観察は終了となった。


船で、今度はサンタクルス島のプエルト・アヨラに戻る。
港からはお土産を買いながら、ゆっくりホテルに戻った。
               戦利品はコレ!


ガラパゴスはお土産の物価が非常に高いと感じた。キトでも似たようなものがもっと安く手に入るので、無理に買う必要はないかもしれない。
ただし、ガラパゴスTシャツとガラパゴスコーヒーは、キトに必ずあるものではないとのことなので、気に入ったら購入したほうがよいようだ。


タグアというナッツの実で作った動物の置物
一見石のようで、あげた人には説明が必要。
でも、ナッツだというと結構喜んでもらえる。

1つ3〜8ドルぐらい(店により値段が違う)

サン・クリストバル島産
ガラパゴスコーヒー
コーヒーは何種類かあり、真空パックや挽いてない豆など好みで選べる。上のは8〜10ドル
   
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